ハンセン病について ~ハンセン病患者に対する日本政府の対応~
ハンセン病とは、1873年にノルウェーのハンセンが発見したらい菌によって、主に皮膚や抹梢神経が侵される感染症の一つです。この菌の毒力はごく弱く、感染しても発病することはきわめてまれであり、1943年のプロミンに始まる化学療法剤の効果によって、今では通院治療で確実に治癒するようになっています。しかし、化学療法がなかったころは、らい病と呼ばれ不治の病と考えられていた一方、顔面や手足などの後遺症がときには目立つことから、恐ろしい伝染病または遺伝病のように受け止められてきました。そのため、日本でも昔から、偏見・差別の対象とされてきました・・・
ハンセン病について ~ハンセン病患者に対する日本政府の対応~
ハンセン病とは、1873年にノルウェーのハンセンが発見したらい菌によって、主に皮膚や抹梢神経が侵される感染症の一つです。この菌の毒力はごく弱く、感染しても発病することはきわめてまれであり、1943年のプロミンに始まる化学療法剤の効果によって、今では通院治療で確実に治癒するようになっています。しかし、化学療法がなかったころは、らい病と呼ばれ不治の病と考えられていた一方、顔面や手足などの後遺症がときには目立つことから、恐ろしい伝染病または遺伝病のように受け止められてきました。そのため、日本でも昔から、偏見・差別の対象とされてきました。
1907年(明治40) 法律「癩(らい)予防ニ関スル件」制定され、身寄りのない患者の隔離を基本とする国のハンセン病政策が始まります。 その内容は、「強制入所」「外出制限」「断種・中絶手術の強制」と信じられない内容ばかりです。患者の入院先の国立療養所では、治療らしい治療は十分に受けられず、強制的な労働が課せられました。所長には、懲戒検束権(警察権・司法権)が認められており、懲戒房までありました。...