『「灰の水曜日」について、
あるテーマを選んで論述せよ。
内容にふさわしいタイトルを付すこと。』
「至高の神への道のり」
T.S.エリオット(1888~1965)は、アメリカ生まれのイギリス詩人であり、彼の作品の歴史には人生における大きな転回点を含んでいる。聖書や神話などを巧みに引用し、第一次世界大戦後の荒廃した世界を描いた知的で難解な作品『荒地』(1922)は、彼の傑作の一つである。しかし、同様に近代文明の廃退と絶望を描いた『うつろなる人々』(1925)を最後に、彼の詩における主題、技法、思考内容が大きな転換期を迎えることになる。そのきっかけが、エリオットの英国国教会への改宗および英国への帰化という一大イベントであった。この機を境に、神の栄光をほめたたえて強く祈りを捧げる「シメオンの歌」や「アニムラ」を含む『妖精詩集』(1927~30)、そして、“全ての人が一つの同じ真実の中に在る”とし、エリオット自身が強く傾倒したダンテに関する論文「ダンテ論」のような作品を生み出した。このようにして、“白衣の聖女”の助けとともに、神の恵みを得られる世界に至るまでの希望の光を請願する『灰の水曜日...