『ロスト・ジェネレーションの作家について
具体的に作品をとりあげて述べよ。』
ロストジェネレーション(失われた世代)とは、戦争に参加し、その体験を身に背負い、アメリカに帰った後に再びヨーロッパに渡った人物たちのことであり、そのような人物を扱った作家が、ロスト・ジェネレーションの作家である。「ロスト・ジェネレーション」という言葉は第一次世界大戦後の1920年代にパリに滞在していたアーネスト・ヘミングウェイ(後述)に対しガートルード・スタイン(1874~1946)が投げかけた台詞「あなた方は皆、失われた世代よ」に由来し、酒や享楽に溺れる「自堕落な世代」を意味していた。ヘミングウェイがこの台詞を『日はまた昇る』のエピグラフに引用することで、アメリカ文学史上に広く残るきっかけとなった。以降、ロスト・ジェネレーションの代表的な作家として、ドス・パソス、フィッツジェラルド、フォークナー、ヘミングウェイについて述べる。
ジョン・ドス・パソス(1896~1970)は、野戦衛生隊およびアメリカ赤十字隊における自らの戦争体験を元に、戦争関連の小説を残した。その一つ『三人の兵隊』(1921)は、3人のア...