近年、虐待等の高齢者・障害者の権利侵害が社会問題化し、これらの人々の尊厳ある生活を維持していくための権利擁護が大きな課題となり、福祉分野において重要な法整備が進められた。平成18年度の改正介護保険法では、権利擁護業務が市町村が実施する地域支援事業の必須事業と位置づけられ、障害者自立支援法においても地域生活支援事業のなかに権利擁護相談が盛り込まれた。また、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、いわゆる高齢者虐待防止法においても、虐待防止・対応における市町村の責務が明確にされた。これらの法整備のなかで成年後見制度は、判断能力の不十分な高齢者・障害者の権利擁護の根幹をなす制度...