物上保証行為と親権者の法定代理権濫用

閲覧数3,026
ダウンロード数4
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    【はじめに】
    本件は、親権者である母Aが子Xを代理してその所有する土地(元所有者はXの祖父であり、同時期にXの祖父と祖母、父が亡くなったことにより、Xに所有権が帰属した)につき第三者B(Xの祖父の子のC(つまり、Xの叔父にあたる)が代表を務める会社)の債務を担保するためY(信用保証協会)に対して根抵当権を設定する契約を締結したが、成人に達した子X(原告・控訴人・被上告人)がY(被告・被控訴人・上告人)を相手に、Aがした右契約の締結行為は、専らBの利益を図るもので代理権の濫用に当たるところ、Yは右契約締結時に濫用の事実を知っていたのであるから、民法93条ただし書きの類推適用により右契約の効果はXに及ばないと主張して、本件土地の所有権に基づき、根抵当権設定登記の抹消登記手続きを求めるものである。

    タグ

    民法法律代理親権利益契約抵当権登記債務無効

    代表キーワード

    民法

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    物上保証行為と親権者の法定代理権濫用
    最高裁平成4年12月10日第一小法廷判決
    【はじめに】
    本件は、親権者である母Aが子Xを代理してその所有する土地(元所有者はXの祖父であり、同時期にXの祖父と祖母、父が亡くなったことにより、Xに所有権が帰属した)につき第三者B(Xの祖父の子のC(つまり、Xの叔父にあたる)が代表を務める会社)の債務を担保するためY(信用保証協会)に対して根抵当権を設定する契約を締結したが、成人に達した子X(原告・控訴人・被上告人)がY(被告・被控訴人・上告人)を相手に、Aがした右契約の締結行為は、専らBの利益を図るもので代理権の濫用に当たるところ、Yは右契約締結時に濫用の事実を知っていたのであるから、民法93条ただし書きの類推適用により右契約の効果はXに及ばないと主張して、本件土地の所有権に基づき、根抵当権設定登記の抹消登記手続きを求めるものである。
    【判旨】
    1.第1審
     Xは、親権者が法定代理権を濫用してした法律行為は無効であると主張したが、B会社の債務を担保するために本件土地に根抵当権を設定することは、Xにとって不利益ではあるが、単に本人である子に不利益になる...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。