平成20年度小学校学習指導要領体育科の目標は「心と体を一体としてとらえ、適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる。」というものである。これは、学校教育法において「小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とする。」と規定されていることを踏まえ、「生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てる」ことを明確に示し、「運動に親しむ資質や能力の育成」「健康の保持増進」「体力向上」の三つの目標が密接に関連していることを示したものである。この目標は現代の小学校児童が自分の身体に対してどのような意識を持っているか、健康に対してどのような理解をしているか、という現代社会の問題点を反映するものであり、その時その時の学習指導要領の変遷を見れば、日本人の心と体の健康に対する意識レベルをある程度把握することができる。まずは、学習指導要領の変遷について戦後から順に述べていく。
学習指導要領は昭和22年学校教育法が公布され...