(1)目的
固体には、力を加えればそれに応じた変形が生じ、力をとり去れば元にもどる性質があり、これを弾性という。力の大きさと変形量との関係を示す量として弾性定数が定義されている。ここでは、そのうちのヤング率を、ユーイング(Ewing)の装置で求め、その原理を理解する。また微小数変位の測定手段として応用範囲の広い、光てこの方法も学ぶ。
(2)理論
ヤング率とは固体の弾性定数の一つで、次のように定義される。断面積Sの棒を力Fで引張るとき、その長さ が だけ伸びたとすると、ヤング率は
・・・・(1)
しかし上の式が成り立つのは、力の大きさが弾性限界以下の場合である。例えばたわんでいる棒があるとする。この変形が弾性的に生じているのなら、曲げに要する力と変形の大きさから棒のヤング率をもとめることができるはずである。ユーイング装置とは、この考えを用いて棒に荷重をかけたわみを測定し、これを伸び縮みの関係に移し変えてヤング率を求めるものである。
二つの支点間に角形断面の棒を渡し、その中央に重りをつるすと棒はたわみ、中央が降下する。この降下の大きさを中点降下といい、これを とすると...