契約が解除されると、①未履行の債務は履行しなくてよい、②既履行の給付があれば、相互にこれを返還しなければならない(545条1項本文)。これを原状回復義務という。ただし、善意の第三者に対抗することができない(同項ただし書)。金銭を返還すべき場合は、受領の時から利益を付けるべきである(545条2項)、③解除の原因たる債務不履行によって生じた損害について、損害賠償を請求することができる(545条3項)の3つの効果が生じる。このような効果を説明するために、法律構成として大きく3つの考え方が主張されている。第1に、解除の直接的な効果として、契約が遡及的に消滅するということを基礎にして説明していく直接効果説がある。第2に、解除の直接的な効果としては、原状回復義務が生じるにすぎず、この原状回復義務が履行されることによって、契約関係が消滅する。すなわち、契約関係の消滅は、原状回復義務が履行されたことによる間接的な効果にすぎないと考える間接効果説がる。第3に、折衷的な見解である折衷説がある。判例・通説は直接効果説を採用しているが、この説は契約の遡及的消滅と考えるところに特徴がある。これに対して、間接効果...