国際司法裁判所(ICJ)は、1945年6月26日にサンフランシスコで署名された国連憲章により設立された。裁判所は、国連総会と安全保障理事会で選挙される15名の裁判官で構成され、任期は9年で、3年ごとに5名が改選される。選挙に際しては、世界の主要文明・主要法系に配慮することが求められるが、実際には15名の枠が地理的に配分されている。また、紛争当事国の国籍をもつ裁判官(国籍裁判官)・特別選任裁判官の制度があり、国籍裁判官は当該事件につき出席することができ、自国籍の裁判官がいない紛争当事国は、特別に当該事件限りの裁判官を選んで裁判官に送り込むことを認められている。
ところで、国際司法裁判所における裁判では、国家のみが当事者となり得る(ICJ規程第34条1項)。また、その裁判管轄権は、仲裁と同様に紛争当事者の合意を基礎とし、一般的な形では強制管轄権は有しない。そこで裁判を義務的なものにするための方法として、①裁判条約・裁判条項、②選択条項の2つがある。前者は、二国間条約や多数国間条約で、将来生ずることのある紛争を国際司法裁判所に付託することを予め約束しておく場合である。この場合、条約の当事国は...