日大通信 民法II 分冊1

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    日本大学民法

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    「無から有は生じない」の通り、通常、無権利者から権利取得を目的として取引を行っても、権利取得できないのが原則である。しかし、日々、反復継続して大量の動産取引がされている現状では、取引相手が権利者であることを確認できなければ、権利取得ができないというリスクを、権利取得者が負わなければならないとすると、動産取引が行いづらく支障をきたすことが明らかである。そこで、占有を信頼して取引した者(占有者が無権利者であることについて、善意・無過失である者)を保護するために、動産の占有に公信力を与え、取引の安全を図る制度が、即時取得(民法192条)である。
    即時取得の成立要件は、6つある。
    ①取引の目的物が動産であること
    これは、動産の権利関係の公示が占有という不安定な制度に依拠しているためである。不動産は公示に登記制度が存在するため、即時取得の適用はない。また、動産でも自動車や船舶などで、不動産のような登記・登録制度がある場合には、即時取得の適用はないと解される(最判昭和62年4月24日判時1243_号24頁)。ただし、これらの動産も未登録・未登記や抹消登録済みのものについては、公示方法が占有に依拠す...

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