国木田独歩作「忘れえぬ人々」を読み、そこに表現されている人間認識及び人生観について述べよ。
忘れえぬ人々は、はたごやで偶然であった無名の文学者、大津辨二郎が無名の画家、秋山松之助に忘れえぬ人について話をするという物語である。大津は忘れえぬ人として三人、秋山に話した。
最初の一人は、体の具合を悪くしたため、東京の学校から国に帰る途中に出会った人である。大阪から瀬戸内通いの汽船に乗っているとき、大津は船の上から小さな島を見た。その島では、男が何かを拾って籠か桶に入れていた。大津はこの人をじっと見ていた。この人が忘れえぬ人々の一人目である。
二人目は、九州旅行に出かけたときに出会った人である。阿蘇山の頂上に登った後、宮地の宿駅に向かった。その途中で、空車らしい荷車を牽いている屈強な若者に出会った。俗謡を歌う若者をじっと大津は見つめていた。この若者が忘れえぬ人々の二人目である。
三人目は四国の三津ヶ浜に一泊して汽船便を待っていたときに出会った人である。三津ヶ浜やその近くの町を散歩していたとき、町の端の物静かな場所で、琵琶を弾く琵琶僧に出会った。この琵琶僧が三人目の忘れえぬ人々である。
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