「美しい」と「きれいだ」について、意味の類似点と相違点を述べよ
「美しい」と「きれいだ」について、意味の類似点と相違点を述べよ。
まず「美しい」と「きれいだ」について、その意味を挙げる。二つの言葉の類似点と相違点を整理し、用例をもとにそれぞれの語義の要素を考察する。
■美しい(形容詞)
①形、色、音など、聴覚や視覚の対象となるものが整っていて感じがよく、心が楽しくなったり感動したりする様子。「美しい音色」「美しい文章」など。
②人の行為や態度、あるいはある事柄の内容が好ましい感じである。「美しい行い」「美しい兄弟愛」など。
③いとしい。かわいい。特に幼少の者、小さい者に対して、その様子がいかにも愛らしい。可憐である。「それを見れば三寸ばかりなる人いとうつくしうてゐたり」(『竹取物語』)など。
④きちんとしている。さっぱりしている。「その日のふみ、うつくしう作り給て進士になり給ひぬ」(『源氏物語』)など。※上代は主に肉親に対する愛情を表し、中古以降、情意性と状態性を兼ね、特に小さい物に寄せる愛、小さい物の美に対する愛を表し「愛らしく美しい」の意に多く使われた。
(『国語大辞典言泉』小学館、林大編、1986年より)
➀形・色・声などが人に快い思いをさ...