法の下の平等について
平等の思想は自由と共に、近代国家の基本原理として各国の憲法に取り入れられている。その基礎はロックやルソーなどによって封建制、絶対君主制に対抗するために唱えられた近代的自然法思想にある。
自由の追求は不平等を生み、平等の追求は自由を束縛するという考えから、当初両者は対立する原理と考えられてきた。だが今日、共に国家からの不当な扱いを否定し、個人の人格の尊厳に最高の価値をおくものとして一体的な原理として捉えられ、むしろ自由と平等をいかに調整するかが現代国家の重要課題とされる。
近代の国家の任務は、各個人の自由な活動を保障することで、平等とは全ての人間を法的に均一に取り扱う、形式的平等を意味した。しかし二十世紀以降の資本主義の発展は貧富差を拡大させ、社会的・経済的弱者を多く生み出した。そこで国家は消極的な機会平等、形式的平等の保障のみならず、積極的に結果の平等ないし実質的平等をも保障しなければならないと考えられるようになった。しかしそれは国家の強力な介入を要請する危険性があるため、機会の平等を実際に確保するための基盤形成に寄与するにとどまるものであり、国家が生存権その他...