古米が工業原料として、バイオマス原料に用いられることの是非を検討した論文です。試料米や多収穫米の検討は続く中、山形の農家の考えが伝わってきます。
「米は工業原料になりうるか。」 / バイオマスプラスチック製造
山形大学共同研究員 東都雅典
これまで私は、でんぷん質を原料にして乳酸製品(乳酸、乳酸エチル、ポリ乳酸)を製造するプロセス開発において、試験的に米を原料としてきた。
私たちが主食とする米の成分は、80%が炭水化物、7%がたんぱく質、他はほとんど水分である。したがって、当然の事ながら米は乳酸発酵の原料として申し分のない適材である。ところが、乳酸の原料にこの米を用いたという研究の報告書や特許は、いくら文献調査しても見つからなかったのである。
酒造りにはコウジを用いた糖化前処理があるし、近代的な醸造の糖化工程には酵素のグルコアミラーゼが用いられている。それらと米からの乳酸製造プロセスは、極めて類似した発酵の技術であるにもかかわらず、である。
その理由は、“米は主食”なので工業用ともされる薬品の乳酸製品にしてしまうのは、タブーであったのか、ということが考えられる。また、200~300円/㎏もする食料米を原料にして、1㎏120円程度(食品添加物用)で売られている乳酸を作ろうとしないのも当然であろう。
米の生産統計
平成1...