刑法問題・器物損壊罪
問題 刑法261条(器物損壊罪)と軽犯罪法1条33号(工作物等汚損の罪)との
関係について述べなさい。
答案
1 器物損壊罪
意義
公・私用文書、公・私用電磁的記録、建造物、艦船以外のものを損壊する
犯罪をいう。
損壊
物の本来の効用を減失。減少させる一切の行為をいう。
2 軽犯罪法1条33号違反
みだりに他人の家屋その他工作物に貼り札をしたり、汚損する罪をいう。
軽犯罪法違反は、拘留または科料に処される。
3 両罪の関係
器物損壊罪の補充規定に当たるのが、軽犯罪法1条33号違反の罪である。従って、
器物損壊罪が成立する場合であれば、軽犯罪法の罪は成立しない。
そこで、問題は、どの程度であれば、器物損壊に該当するのか、という点であり、
逆に言うと、どの程度であれば、軽犯罪法違反にとどまるのかという点である。
この点、裁判例では、原状回復の程度を問題にしている。つまり、汚損の程度が単に
その物の美観を害する程度にとどまり、そのものの本来の効用を害するに至らない場合
であれば、軽犯罪法1条33号違反の罪が成立し、そのものの本来の効用を害するに至った場合は、器物損壊罪が成立する。