刑訴法問題・答案 被疑者の勾留
問 被疑者の勾留の意義と要件について述べよ。
答案
1 被疑者勾留
刑事手続上の目的を確保するため、被疑者の身柄を拘禁する裁判及びその執行をいう。
拘留には、起訴前の拘留(被疑者拘留)と起訴後拘留(被告人拘留)がある。本問は被疑者拘留についての問題である。被疑者拘留については、刑訴法207条1項によって、
刑訴法60条以下の被告人拘留に関する規定が、保釈に関する規定を除き、準用される。
刑訴法207条1項は、「前3条の規定による勾留の請求をうけた裁判官は、その処分に
かんし裁判所又は裁判長と同一の権利を有する。但し、保釈に関しては、この限りではない」と規定している。
2 勾留の要件
実体的要件
ア 勾留の理由
罪を犯したと疑うに足りる相当の理由の場合であって、次のいずれかの要件
を満たすことが必要である。
住所不定
罪証隠滅のおそれ、
逃亡のおそれ
である。
なお、軽微事件の場合には、住居不定の場合に限られる。
イ 勾留の必要性
勾留の理由があっても、実質的に見て勾留の必要の無い場合には勾留は許されない。直接の明文の規定は無いが、裁判官の判断で、請求が却下されることがある。
形式的要件
ア 勾留質問
勾留するには、被疑者に被疑事実を告知して、陳述を聴くことが必要である。
イ 逮捕前置主義
勾留するには、逮捕手続の先行が必要である。