中国のゴミ問題

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    資料の原本内容

    工業生産の急速な拡大、経済発展に伴う消費の活発化により、廃棄物による汚染が深刻化しています。
    中国の廃棄物に関する文献はあまり見受けられません。『中国環境年鑑』『中国環境状況広報』などに工業固体廃棄
    物に関するデータがありました(私が調べた範囲で)。論文としては『全国廃棄物処理と管理学術討論会論文集』(中国
    科学技術協会工作部編、1990)などがあります。
    中国では都市ゴミの中で住民の消費過程において発生する廃物及び人のし尿を「都市生活固体廃棄物」(以下、生活
    ゴミ)、都市の各種工業から生産過程において発生する廃物を「工業固体廃棄物」(以下、工業ゴミ)と呼んでいます。

    中国の生活ゴミの発生量と成分
    都市におけるゴミの発生量は 87 年に 1 億 565 トン、88 年に 1 億 1565 トン、89 年に 1 億 2660 トンで年平均約 10%の
    割合で増加しています。ほぼ経済成長率と同様です。参考に日本の 89 年の一般廃棄物の発生量は 4997 万トンです。
    いかに多いかが理解できます。
    都市の生活ゴミ成分は大都市と中小都市で違います。これは燃料と暖房に都市ガスまたは石炭を利用する違いに起
    因します。都市ガスだけを燃料として使用する世帯では、90%以上の生活ゴミが有機物です。燃料としてガスだけ利用
    している世帯では 40%が有機物です。石炭だけを使用している世帯では 87%以上が無機物です。
    生活ゴミの中に有機物の割合が多いほど、収入が高く、生活レベルも高い傾向が強いです。つまり経済発展にともな
    い生活レベルが徐々に向上し、生活で使用するエネルギー源がガスに転換されるに連れ、生活ゴミ中の無機物が
    徐々に減尐し、有機物が年々増加しています。 (ここでの有機物は紙、厨芥)

    生活ゴミの収集、運搬
    生活ゴミの収集・運搬は市の環境衛生局の責任で行われています。問題点が多々あります。改善の努力として、各都
    市の中で道路が整備されている町や地区では、ゴミ専用コンテナを設置し、専用車でゴミを搬出しています。しかし、
    道路が整備されていない裏町や裏道ではゴミの搬出・運搬が不便なためゴミが散乱しています。
    瀋陽市では 1991 年に 750 万元を投じて、環境衛生関係の車両 80 台とごみ箱 1000 個を購入しました (『瀋陽年間
    1992』p.178)。環境衛生関係車両の内訳はゴミ収集車 31 台、フォーク車 18 台、し尿収集車 31 台です。その結果、1991
    年には 836 台の環境衛生関係車両を所有しました。

    生活ゴミの処理と現状
    中国には堆肥化工場・無害化のためのゴミ処理場がともに大体 40 ヶ所で、あまり衛生基準を満たせずに処理されて
    います。大部分の都市でゴミとし尿が伝統的な方法で収集・運搬され、直接公害に野積み(堆積)・填坑・填溝されたり、
    田畑に施肥されています。ゴミの処理は特になされ手なくて、放置されています。多くの都市周辺の坑・溝はゴミで埋
    め立てられ、新しくゴミの野積みをする場所が必要なのに適切な場所が見つけられないのが現状です。近年、農家は
    堆肥として生ゴミの使用を嫌い、このことがごみ処理をさらに困難にしています。全国の都市においては年間約 1000
    万トンのゴミの搬出さえも困難となっています。その結果ゴミが郊外のあちこちで野積みされ、「ゴミが城を囲む」様相
    になりました。例えば、、北京市郊外には 50 ㎡にも及ぶ露天の生活ゴミ堆積場が 4500 ヶ所に達しました。他都市の生
    活ゴミ堆積場の状況は、瀋陽市 140 ㎡(40 ヶ所)、広州市 69 万㎡、貴州市 14 万㎡でした。

    このように生活ゴミによる都市郊外の土壌汚染が懸念され、また農地では生活ゴミにガラス、金属くずなどが混入して
    いるため、田畑の土壌の団粒構造が乱され、保水性の低下など地力の低下を引き起こしています。
    中国の環境衛生関連予算は 1979 年に 2 億 5100 万元、1988 年に 7 億 5000 万元と、約 10 年間で 3 倍に増加しまし
    た。 1986 年には国務院が、城郷鎮建設環境保護部と中央愛国衛生運動委員会に生活ゴミの処理と環境衛生面の
    改善について通知を行いました。しかし、ゴミの処理・再利用の解決は、国の経済・技術力、ゴミの成分によって決まる
    と思うのです。現在、生活ゴミの処理は主にコンポスト(高速堆肥化)であり、し尿処理は主に糞池で嫌忌性醗酵されて
    います。
    広州市は外国から主要な技術を設備を導入し、400 トン/日の処理能力があるし尿総合処理場を建設しました。また、
    衛生埋立てによる生活ゴミの処分技術を導入しました。北京市は 1989 年に 300 トン/日の処理能力があるプロジェク
    トの内、100 トン/日の堆肥化実験工場の建設計画を立案しました。深セン市では日本から主要技術を導入し、300 ト
    ン/日(150 トン/日×2 基)の処理能力があるゴミ焼却施設を完成させました。
    焼却処理はゴミの減容・減量化に優れ、エネルギー回収と焼却残渣の建築材料としての再利用が可能ですが、焼却
    施設の建設、運営に高度な技術と多くの費用を要するため、病院などの特別なゴミ(感染性廃棄物) に対して焼却処
    理を採用するほかは、現段階では普及は困難と考えられます。
    このことを大規模に行うため外国の技術・資金を借りて処理・焼却施設を建設していますが、困難です。従って中国で
    必要とされているのは全国への普及が容易な堆肥化や衛生埋め立てによるごみ処理に重点が置かれつつあります。
    これでは衛生埋立地からの浸出水による地下水汚染が心配なので、しゃ水方法やエネルギー回収を目的としたメタ
    ンガス制御システムの検討を行っています。
    現在の中国の経済発展を考えると衛生的な埋立てによる埋立処分は最も適切な方法だと思います。ですから、まず
    分別回収・再利用により排出量を削減し、ゴミ処理として堆肥化・衛生的な埋立てを行い、埋立てできない特殊なゴミ
    (病院などから出るゴミ)は最新鋭の焼却施設で集中的に処理するのがいいと考えられます。
    生活ゴミの処理の方法として、無害化・減量化・資源化を目指し、当面は衛生的な埋立てと堆肥化を推進し、将来的
    には経済発展による生活水準の向上から無機物の減尐、有機物の増加が進行していることから、焼却処理施設の導
    入を先進国から取付ける必要があります。
    また減量化実現には、都市エネルギーの多様化・ガス利用率の向上、集中給熱システムの導入、野菜の加工技術、
    ゴミの再利用技術の開発が必要です。資源か実現には、ゴミ分別回収の普及、徹底とともに製品化開発が必要で
    す。

    中国と諸外国のゴミ組成の比較
    類別
    国・地区

    有機類(%)

    無機類(%)

    動植物・厨芥 紙 プラスチック・ゴム 布片 合計 煤渣・土砂 ガラス・陶器 金属 その他 合計
    アメリカ 22

    47 4.5

    -

    73.5 5

    9

    8

    4

    26

    イギリス 28

    33 1.5

    3.55 66.0 19

    5

    10

    -

    34

    日本

    18.6

    46 18.3

    -

    82.9 6.1

    -

    -

    10.7

    16.8

    ドイツ

    16

    31 4

    2

    53.0 22.0

    13

    5.2

    7.0

    47.2

    フランス 15

    34 4

    3

    56.0 22.0

    9

    4.0

    9.0

    44

    オランダ 50

    22 6.2

    2.2

    80.4 4.3

    11.9

    3.2

    -

    19.4

    福州

    21.8

    0.5 0.5

    -

    22.8 62.2

    1.1

    0.5

    3.4

    67.2

    上海

    42.7

    1.6 0.4

    0.5

    45.2 53.8

    0.4

    0.5

    -

    64.8

    北京

    50.3

    4.2 0.6

    1.2

    56.2 42.3

    0.9

    0.8

    -

    43.9

    武漢

    26.5

    2.4 0.3

    0.7

    29.9 68.0

    0.9

    0.2

    0.1

    70.1

    広州

    38.0

    -

    -

    -

    40.0 55.0

    -

    -

    5.0

    60.0

    南寧

    14.6

    1.8 0.6

    0.5

    22.5 74.7

    0.6

    0.5

    -

    82.4

    梁山

    16.5

    1.0 0.2

    0.5

    18.3 80.3

    0.4

    0.5

    0.6

    81.7

    生活ゴミからの資源化可能量の概算
    1990 年
    類別
    重点都市

    中小都


    1995 年
    合計

    重点都市

    中小都


    2000 年
    合計

    重点都市 中小都市 合計

    ゴミ総量

    3840

    2260

    6400

    4800

    3200

    8000

    5760

    3840

    9600



    337.8

    61.5

    399.3

    672.8

    281.5

    854.3

    1119.3

    538.1

    1657.4

    金属

    61.4

    17.4

    78.8

    121.9

    51.2

    173.1

    200.4

    97.5

    297.9

    37.2

    31.4

    68.6

    102.7

    31.0

    133.9

    190.6

    82.1

    272.7

    ガラス

    55.2

    391.1

    94.3

    109.9

    46.1

    156.0

    180.8

    111.3

    292.1

    織物

    65.6

    22.6

    88.2

    1305.

    54.7

    185.2

    214.8

    104.4

    319.2

    厨芥

    211...

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