カント哲学 レポート 自由と決定(自然必然)の問題
問⑴ 純粋理性の二律背反(アンチノミー)のひとつ,自由をめぐる二律背反を示す二つの命題,すなわち「世界には,自由による原因がある」「いかなる自由もなく,すべてのものは自然である」という命題はどのような意味で二律背反なのか,説明せよ。
問⑵ カントによれば,この自由をめぐる二律背反を示すようにみえる二つの命題は矛盾せず両立可能である。なぜ矛盾せず両立可能なのか,説明せよ。
⑴
いわゆる自由と決定の問題——世界の事象には自由という特殊な原因により引き起こされるものもあるのか,世界の事象はすべてそれに先行する事象によって因果的・必然的に決定されているのか,という問題——が,その両者が同時に両立し得ないと考えられているという意味で,カントにおいて宇宙的理念をめぐる第三の二律背反として扱われている。このような二律背反は,純粋理性がみずからを超越的に使用する際に現れる宇宙論的理念に応じて,「世界には自由による原因がある」といったような純粋理性の弁証論的主張が存在するが,弁証論的であるがゆえに,「いかなる自由もなく,すべてのものは自然である」といっ...