音楽療法とは

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    資料の原本内容

    ♪音楽療法とは…
    音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを用いて心身の障害の回復、機能の維持改善、QOLの向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること(音楽療法学会定義)
    音楽の力は、私たちにとって心理的、生理的、あるいは社会的に影響すると言われています。 心理的には感情と記憶を刺激し、生理的には身体的に変化をもたらし、社会的には人との交流のきっかけを作ってくれる…ということです。
    活用法は、音楽を聴いたり歌ったりまたは楽器を鳴らしたりする、ほかにもリズムにのって動いたり、作曲も効果的であるとされています。 音楽を聴く事を受動的音楽療法、歌う、楽器を演奏する、動く、作曲するなどを能動的音楽療法と言います。 基本的な体験としては、受動的音楽療法はダウン症や認知症といった障害をもっている利用者すべてに応用する事ができます。 能動的音楽療法には、楽器習得は自己規律、自己能力への信頼、そして人の内的な状態が忠実に出たりする事が体験できると考えられています。
    音楽療法の歴史は古く、原始宗教、自然崇拝などの宗教の誕生と、ほぼ同じ時期に誕生したとされています。はじめは儀式や呪術に用いられており、音楽療法を用いて精神を鼓舞したり、他にも、一種のトランス状態を引き起こしたりしていました。また、スピリチュアルな豊かさは、現在にも引き継がれています。その後、有名な第二次世界大戦の最中にも、米国の野戦病院では、音楽療法を利用し、兵士の治癒が早まったと、米国を中心にその治療効果が立証されました。
    そういった歴史を経て、現在では、高齢者や引きこもりのケアの現場など、各地において、活発に利用されるようになってきました。日本でも、医療の現場などにも取り入れ始められ人々の生活の中で、必要とされている音楽を利用して、認知症や障害を持った子供達の症状の悪化を防いだり、改善されています。近年、高齢化に伴い介護保険制度の施行と共に福祉の現場ではより質の高いサービスの提供が求められており高齢者施設などの医療現場で音楽療法が急速に広まっています。
    ♪音楽療法の目的 1)疼痛感の減少   認知的な疼痛緩和手段の一つとして、音楽を用いることができます。   ・痛みに対する過敏な意識を逸らす    ・リラクゼーション   ・不安を引き起すような雑音をおおい隠す             ・情報の伝達手段   ・快感を与える環境刺激
    2)筋力機能の向上   移動能力や呼吸機能も含めて、リハビリテーションに必要とされる身体的な運動への意欲と動きの制 
      動能力を向上させる働きがあります。
    3)医療環境におけるノーマライゼーション   音楽活動には、遊びや身体的な活動、社会的交流、娯楽、学習能力の伝達などを積極的に機 
      能させる働きがあります。
    4)情緒的な援助   音楽は情緒に深く結びついたコミュニケーションの一形式であり、情緒的な表現の出口であり、
      そして安らぎの源でもあります。
    ♪具体的な効果
    音楽は、波動がリズムとメロディーで出来ているもので、脳波なども波動になります。音楽療法とは、その波動を合わせると変化し、気分によって変わる波形を、脳波のパターンを用いて、病気の治療や予防をすることができるとされています。
    ◆5つの脳波とその性質について
    γ波 30Hz以上 怒りを感じていたり興奮をしているとき β波 14~30Hz 緊張していたり警戒しているとき α波 8~14Hz リラックスしているとき、集中しているとき θ波 4~8Hz 浅い睡りの状態のとき、瞑想しているとき δ波 0.5~4Hz 深い睡眠に入っているときや無意識の状態
    体感音響装置
    人工透析、ターミナルケア、外科領域(術前・術後の不安緩和、ストーマケア)など、不安の緩和、痛みの緩和、リラクセーションなど、さまざまな応用がなされています。 便秘への効果、褥瘡の回避効果も指摘されており注目されます。
    人工透析の分野でも音楽療法を取り入れている施設もあり、とくに不安やストレスの多い導入期を重要視し体感音響装置という特殊なベッドパッドを使用した受動的音楽療法を応用して効果をあげているということです。音楽は患者さんに好きなものを持ってきてもらうことを基本にしているそうで、3~6カ月の導入期を終え、透析を受容していくそうです。                                       
    維持透析においても透析治療安定、愁訴減少、血圧安定、穿刺痛緩和、腰・背痛軽減、鬱症状の改善などが報告されています。
    ◆体感音響装置による受容的音楽療法の臨床例◆
    心療内科領域
    我が国は '80年代、ストレス社会に突入し、心身症、神経症、不登校児の増加、過労死など、ストレスに起因する病を多発させた。心療内科領域での受容的音楽療法の臨床例は「うつ状態に音楽療法的接近を試みた一例」「過敏性腸症候群に対する音楽療法」「頭頸部の不定愁訴に対して音楽療法を施行した一例」「摂食障害患者の過食衝動に対する音楽の活用の試み」など、東邦大学心療内科・筒井教授らの数多い臨床報告がある。また、横浜労災病院心療内科・山本先生の「不登校症例に対する音楽療法の活用」も報告されている。方法としては、リラクセーション効果のある椅子形の体感音響装置を使用した例が多い。東邦大学心療内科では、音楽療法導入前に対象者の状態を十分に把握し検討した上で、音楽療法が適した患者のみに行われ、治療の目標となるゴールを設定し、治療方針を決定の後に音楽療法セッションを行っている。カウンセリングはもとより、ケースによって自律訓練法、バイオフィードバック療法、薬物投与などと、音楽療法を併用する治療的な音楽療法である。
    成分献血
    大阪府赤十字血液センターの小林先生らは、成分献血に音楽療法を採り入れ「成分献血における音楽の心理的効果について」と「成分献血における振動を伴う音楽の心理学的効果」を報告している。上記文献によると、血液凝固因子製剤の国内自給のため成分献血を推進しているが、大きな問題は穿刺を伴った約1時間の拘束である。そこで、ドナー(献血者)が、できるだけ快適にリラックスして採血時間が短く感じられるよう、成分献血用ドナーチェアに特別製の体感音響装置を搭載した。ドナーは好みの曲を選び体感音響装置で音楽を聴きながら成分献血をする。成分献血者から142名を無作為抽出し、アンケート調査した結果、初回者では100%、経験者では94%が「好む」と回答している。皮膚温、GSR(指の皮膚電気抵抗)の測定データでも音楽を聴く方がリラックスしていることを裏付けた。オープン採血(学校や企業への出張採血)では、センター採血と異なり、採血環境の条件がよくない場合が多い。ドナーに対する精神的環境がよくない場合にVVR注2などの発生が起こり易いが、体感音響装置を採用してからはVVR(血管迷走反応)の発生がゼロになったと報告しており、音楽による精神的環境の改善の効果として注目される。
    人工透析
    大阪府立病院人工透析室では「血液透析中における音楽療法の試み」を報告している。また「大阪府立病院人工透析室での音楽利用」でも紹介されている。上記文献によれば、音楽療法で精神的に安定することによって吐き気、嘔吐が少なくなり、血圧変動が軽減し、腹痛・倦怠感など愁訴が減少するなどの改善の効果がみられた。透析中、愁訴の多い維持透析患者10例について、各患者に医療用ベッドパットタイプの体感音響装置を使用した音楽療法を行い、その前後の心理調査・透析経過比較・施行後の患者へのアンケートによって有効性を評価したところ、8例で不安度の改善や血圧変動・不定愁訴の軽減が認められた。使用する音楽は病院でも用意しているが、患者に好きな曲を持ってきてもらうのを基本にしているとのことである。 聖路加国際病院の人工透析室では医療用ベッドパットタイプ体感音響装置と、特別設計の体感音響装置搭載の透析椅子も使用されており、「慢性透析患者・透析中の音楽併用の試み」や「音楽療法:慢性疾患、特に透析患者への応用」が報告されている。
    ストーマ・ケア
    横浜市立市民病院の榎澤氏らは「人工肛門造設患者の術前・術後における精神的、肉体的慰撫の試み」で、ストーマ・ケアに音楽療法を採り入れた臨床例の報告をしている。上記文献によると、同病院では特製のベッドパットタイプの体感音響装置をターミナル患者に用いて、メンタルな面だけでなく、褥瘡の防止、便通の改善に効果のある経験から、人工肛門(ストーマ)造設患者に音楽療法を導入した。直腸癌手術で行われる人工肛門造設患者にとって、手術に対する不安や術後のボディイメージの変化は、時にはショックや抑鬱状態を招く。ストーマ受容の困難やセルフケアの自立を阻み、社会や家庭復帰の遅滞をもたらすと考えられる。このようなことが予測された患者に、音楽により精神的慰撫をはかる目的でベッドパットタイプの体感音響装置を使用した。その結果、音楽と体感音響振動のもたらす効果や、音楽を通じて患者、家族、医療者が疾患以外に共通の話題をもって接することにより、患者は疾患のみに囚われず自分の気持ちを外に発散することができ、精神的安定がはかられた。ストーマ・ケアで大きな課題となる下痢・便秘などの便の性状によるトラブルが全くなく、便の出始めから軟便で、やや軟便から普通便の排泄が見られ、便のコントロールが得られてセルフケアの自立も早く、速やかな家庭復帰がなされた。人工肛門造設患者にとって、下痢・便秘などの便の性状によるトラブルは切実な問題であるが、それがスムーズであったこと...

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