慢性期
1.成人期における慢性疾患とその医療
1)慢性疾患とは
慢性疾患とは、完全に治ることが望めない病気か、または治るにしてもきわめて長期を要する病気、と日野原は定義している。
米国慢性病委員会は、1951年に慢性病を以下のように定義している。すなわち、慢性疾患とは、次の特徴のうち1つ、あるいはそれ以上を有するすべての機能減退の状態、あるいは正常からの偏りの状態を意味する。
①永久的な障害
②以後、機能低下を残すもの
③非可逆的病理変化に起因するもの
④患者のリハビリテーションのために特別な訓練を必要とするもの
⑤長期間の管理、観察あるいは治療、看護の必要性が予想されうるもの
このような疾患のなかでも、リハビリテーションのための特別な訓練というよりは、その健康を保持するうえで病状を緩和したり、悪化を予防したりする、いわゆる疾病の自己管理と生活の調整をほぼ生涯にわたって必要とする疾患を有する患者の看護について述べる。
また、発症すると病状の進行が早く、かっ治療可能な悪性新生物による疾患の患者の看護は別に取り上げるが、最近では悪性新生物に対しても外来などで継続的に治療し、自己管理していく...