循環器疾患の診断
Ⅰ 症状のとらえ方
心不全では呼吸困難胸痛、動悸、チアノーゼ、浮腫がみられ重症例では循環不全によるショック症状がみられる。狭心症や心筋梗塞の虚血性心疾患では、胸痛が主要な症状であるが、心不全を伴えば呼吸困難チアノーゼ、ショック症状がみられる。高齢者や糖尿病がある患者では胸痛のない場合があり、注意を要する。
不整脈のうち、頻脈の場合では動怖季が主症状で、また呼吸困難胸痛、チアノーゼ、ショック症状もみられる。心房細動があれば、塞栓症を合併することが多く、脳梗塞による片麻痺、腎梗塞末梢動脈の塞栓で痛みを訴える。
徐脈の場合では、アダムス‐ストークス症候群による眩量、失神が主症状であり、心不全を合併する場合は、呼吸困難チアノーゼ、浮腫、ショック症状がみられる。先天性心疾患の右左シャント例では、チアノーゼが強く、流出路障害があれば失神や樽鋸がみられる。
下肢の慢性閉塞性動脈硬化症では、間欠性破行がみられ重症では疼痛、潰瘍を伴う。上肢の指先の循環障害では、寒冷に誘発されてレイノー現象がみられるが、これは塞栓症とは異なる。
1.診察の方法
診察は問診から始まり、理学的所見を得るため...