循環器
循環器系の形態学
Ⅰ 循環器とは
循環系の大切な機能は、物を運ぶことである。酸素や栄養物はもちろん、ホルモン、抗体、さらには熱まで運ぶ。こうして、互いに遠く位置する器官を、機能的に結合する。運搬の原動力を供給するのは、心臓である。また、物を運ぶには、運ぶ媒体が必要である。これが血液であり、リンパ液である。その主成分は水である。また赤血球は、酸素を運搬するために、特殊化した細胞である。
循環器系の末端では、酸素や栄養物と、炭酸ガスや老廃物とが交換される。これは、循環系の本来の機能である。ここではもちろん、基本的な機構は、再び拡散することである。したがって、毛細血管と組織の距離が遠くては役に立たない。そこで、毛細血管は、身体のいたる所に、密な網目をつくって入り込む。その全長をつなげば、5万kmに達するといわれる。ただし、組織によっては、例外的に毛細血管を含まないものもある。皮膚の表皮、眼の角膜、軟骨などがそれにあたる。逆に、脳や心臓は、毛細血血管がきわめて密である。こういう器官は、酸素不足に弱い。
循環器系は、血管系とリンパ系から構成される。リンパ系は、血管系に対して補助的に機能し...