胸痛
胸痛とは、胸部に感じる痛みの総称で、種々の原因で出現する。
循環器領域の疾患のうち、胸痛の原因として重要なのは狭心症や心筋梗塞である。しかし、大動脈や肺動脈、気管支、縦隔、食道横隔膜などほかの胸郭内に由来する胸痛や、頸部や胸壁、また、胃・十二指腸、膵臓や胆嚢といった横隔膜下の臓器に由来する胸痛もある。
1.胸痛の原因
(1)心筋虚血の発生する原因
心筋虚血の発生する最も多い原因は、動脈硬化病変による冠動脈の狭窄である。冠動脈病変を有している症例では、労作によって狭心・症発作を引き起こす。また、虚血は精神的なストレスや発熱、貧血や低酸素血症、低血圧でも引き起こされる。弁膜疾患による心筋肥大や肥大型心筋症高血圧性の心肥大は、心外膜側から内膜に向かう冠動脈血流の通過障害を起こしやすく、虚血の前段階をつくり出している。
狭窄病変が存在しないか、あっても軽微であるのに狭心症発作を起こす場合がある。これは冠動脈攣縮によるもので、血管内皮の障害を合併している。心筋虚血時の痛みを狭心痛という。
(2)非虚血性の胸痛(循環器疾患)の代表的なもの
①心膜炎
しばしば感冒様症状の後に発症するもので、狭...