ショック
ショックは、急性に発症した全身性循環障害で、組織や臓器の細胞が正常な機瀧を維持するのに十分な血液循環が得られない結果生じる生体機能の異常を呈する症候群である。ショックにより、脳、心臓腎などの重要臓器の機能不全症状と、それに対する生体反応による症状を呈する。
ショック状態が改善されずに持続すれば不可逆的な多臓器障害から急速に死に至る危機的な状態となる。治療の目的は、ショック状態であることをいち早く認識し、早急にショック状態から離脱させ、臓器障害を防ぐことにある。
1.ショックの分類
ショックはその血行病態により、循環血液量減少性ショック、心原性ショック、心外閉塞・拘束性ショック、血液分布不均衡性ショックに分類される。発症原因をもとに用いられていた敗血症性ショック、神経原性ショックおよびアナフィラキシーショックは血液分布不均衡性ショックとしてまとめられている。また、心外閉塞・拘束性ショックは以前は心原性ショックに含められていた。循環器疾患では心原性ショックが問題となるが、しばしば心外閉塞・拘束性(心タンポナーデ、大動脈解離肺血栓塞栓症など)、循環血液量減少性(利尿薬の過量投与など...