目的
患者の寝衣を交換することによって身体の清潔を保ち,爽快感を与える.
必要物品
①清潔な寝衣,②綿毛布またはタオルケット,③洗濯袋
ポイント
患者の皮膚を露出するので,室温の調整を行い,保温とプライバシーの保護に留意する
衣服着脱時の原則を守る.健側より脱がせ,患側より箔せる
四肢を動かすときは,疼痛部位や障害のある部位に十分注意し,不必要な苦痛や不快感を患者に感じさせない
体位変換は最少で行い,疲労させない
交換する寝衣は,支障がない限り患者の好みを優先する
Ⅰ.和式寝衣の交換(看護師1人または2人で行う場合)
1.患者の状態把握と説明を行う
①患者の状態を把握し,方法を決定する
②患者に説明し,排泄の有無を確認する
●安静度,着脱能力の程度,疼痛などの部位や程度,麻痺などの機能障害の有無,体動可能な範囲,チューブ類の有無などを把握し,寝衣の着脱方法を決定する
●寝衣を交換することを伝え,了解を得る
○着脱しやすい手前側から行うが,疼痛や機能障害がある場合は,健側から脱がせ,患側から着せる
2必要物品を準備する
●清潔な寝衣と綿毛布を床頭台に置く
○清拭などを行う場合はそれらに必要な物品も一緒に準備する
3環境を調整する
①室温を調整する
●室温は24±2℃に保つ
○着脱時に冷感を感じさせないようにする
●すきま風が入らないよう窓を閉める
②プライバシーを保護する
●多床室ではカーテンあるいはスクリーンをする
③ベッド周囲を整える
●床頭台,オーバーテーブルなどをベッドから離す
○動きやすいように整頓する
4綿毛布をかける
●掛け物は足元に扇子折りにしておく
○身体の保温と不必要な露出を避ける
5寝衣を交換する
●綿毛布の下で行う
○看護師2人で行う場合は,ベッドの両サイドに立つ
①寝衣のひもをはずす
②手前側の上肢を脱がせる
(疼痛や機能障害がある場合は健側から)
●襟元を緩めて肩から寝衣をはずす
○関節に無理な力を加えないようしっかり支えながら行う
●肘関節を屈曲させ寝衣の袖から抜き,裾まで脱がせる
●脱がせた寝衣は内側に丸めて身体の下に入れる
○寝衣に付着した落屑や汚染部が清潔な寝衣に触れないようにする
○清潔な寝衣と重ならないようしつかり入れ込む
③清潔な軽衣を着せる
●寝衣の袖をたぐり寄せ患者の手関節を持ち(迎え手),腕に袖を通す
○上肢に力が入らない患者の場合は特にしっかり支えながら行う
●前身頃を身体に合わせて着せ,後ろ身頃は扇子折りにして患者の身体に沿って寄せておく
④反対側に向いた側臥位にし,寝衣を整える
(患肢は下側にしない)
●反対側に移動し,患者を側臥位にし,ベッド柵をする
○ベッドからの転落を防止する
○看護師2人の場合は,反対側に立っている看護師が患者を支える
●患者の身体が露出しないよう綿毛布を掛け直す
○体位変換時,綿毛布が身体に巻ついたり,片方に寄ってしまい身体が露出することがあるので注意する
●床頭台側に戻り,汚れた寝衣は出ている部分をさらに丸めて身体の下に入れる
●清潔な寝衣を広げて中心線(背縫い)を脊柱に合わせ,後ろ身頃のしわを伸ばす
○身頃のバランスが悪いと着心地が悪くなる
●反対側の前身頃は扇子折りにして身体の下に入れる
●寝衣の紐を腰のやや上にかけ,余った部分は身体の下に入れる
○紐を忘れやすいので注意する
⑤仰臥位にし,反対側の汚れた寝衣を脱がせる
●患者の身体を支えながらゆっくり仰臥位にする
●反対側に移動し,患者の体側を浮かせながら汚れた寝衣と清潔な寝衣を一緒に引き出す
○看護師2人の場合は,反対側の看護師が行う
●汚れた寝衣を肩から脱がせ,肘を支えながら腕から袖をはずし,足元のほうに丸めながら取り除く
○寝衣を取り除くとき落屑などが散らないよう内側に包み込むようにする
●はずした寝衣は洗濯袋に入れる
⑥清潔な寝衣を着せる
●引き出した寝衣のしわを伸ばすように広げる
●寝衣の袖をたぐり寄せ,患者の手関節を持ちながら前腕に袖を通し,次に肘関節を支えながら上腕まで袖を通す
○袖に腕を通しにくいときは,肩から寝衣をはずして行うと肩関節に負担がかからず着せやすい
●襟元を合わせ,左前身頃を上にして裾まで整えて,紐を結ぶ
○前身頃の合わせを逆にすると死亡時の着物の着せ方になるので注意する
○紐の結び方を縦結びにすると死亡時の結び方になるので注意する
⑦背部,腰部のしわを伸ばす
●両方の脇縫いを持ち軽く引いて背部のしわを伸ばす
○背部にしわがあると皮膚を刺激し褥瘡の誘因になる
●患者の膝を立てて,寝衣の裾の背縫いの部分を持ち,患者の腰を浮かせるのと同時に裾の方に引く
⑧着心地を確認する
●襟元,身頃の合わせ具合,紐がきつくないかなどを患者に確認する
○身頃を合わせすぎたり,紐がきついと患者が体を動かすとき窮屈な感じであり,動かしにくい
○緩すぎてもすぐに着崩れる
○ゆったりとした着心地に着せる
6.掛け物をかける
●綿毛布を掛け物の下から外し,寝具全体を整える
○下シーツなどが緩んでいないかなど掛け物だけではなく全体をみる
7.患者の状態を確認する
●着脱時の体動による影響はないか,一般状態,バイタルサインなどを把握する
8.環境を整える
●床頭台,オーバーテープル,椅子などを元に戻す
●患者の身の回りを整え,ナースコールが手元にあることを確認する
●カーテンまたはスクリーンを開ける
●洗濯袋を所定の場所に片づける
Ⅱ.パジャマ(丸首)の交換
1.患者の状態把握と説明を行う
①患者の状態を把握し,方法を決定する
●安静度,着脱能力の程度,疼痛などの部位や程度,麻痺などの機能障害の有無,体動可能な範囲,チューブ類の有無などを把握し,寝衣の着脱方法を決定する
○着脱しやすい手前側から行うが,疼痛や機能障害がある場合は,健側から脱がせ,患側から着せる
②患者に説明し,排泄の有無を確認する
●寝衣を交換することを伝え,了解を得る
2.必要物品を準備する
●清潔な寝衣と綿毛布を床頭台に置く
○清拭などを行う場合はそれらに必要な物品も一緒に準備する
3.環境を調整する
①室温を調整する
●室温は24±2℃に保つ
○着脱時に冷感を感じさせないようにする
●すきま風が人らないよう窓を閉める
②プライバシーを保護する
●多床室ではカーテンあるいはスクリーンをする
③ベッド周囲を整える
●床頭台,オーバーテーブルなどをベッドから離す
○動きやすいように整頓する
4.綿毛布をかける
●掛け物は足元に扇了・折りにしておく
○身体の保温と不必要な露出を避ける
5.パジャマの上着を交換する
①着ている上着を脱がせる
(疼痛や機能障害がある場合は健側から)
●ボタンなどがついていたらすべてはずす
●上着の後ろと前の裾回りを持ち,胸までたくし上げる
○皮膚の露出に注意する
●後ろをたくし上げるとき,患者の膝を立て腰部を浮かせて,支えながら行うと上君を上げやすい
○患者の体重をかけた状態で背部の衣類を引き上げると,皮膚面を摩擦するので注意する
●手前側の上肢を屈曲させ,肘関節を支えて下の方に引きながら,袖口をたぐり寄せ脱がしていく
○過度に屈曲させないようしっかり支えながら行う
●脱がした上着をまとめて持ち肩・頸・頭の順に脱がせる
○頭を通すときは後頭部を支える
○上肢に疼痛や機能障害がない場合は,反対側の上肢も脱がせてから襟ぐりを脱がせる方法もある
●次に反対側の上腕を支えながら脱がしていく
○患肢の場合,疼痛や関節の角度に注意する
②清潔な上着を着せる
(疼痛や機能障害がある場合は患側から)
●手前側の袖をたぐり寄せて,パジャマの内側から看護師の腕を通し,その手で患者の手前側の上腕を支えながら袖を通す
○上肢に疼痛や機能障害がない場合は,先に襟ぐりを通してから両上肢を着せる方法もある
●後ろ身頃をまとめて持ち,頭・頸を通す
●患者の反対側の上肢を屈曲させ,看護師は袖をたぐり寄せて袖口から手を入れて患者の手関節を握り腕に袖を通す
●身頃の裾を下げ,背部のしわを伸ばし,全体の形を整える
●脱いだパジャマの上着は軽くたたんでベッドの足元に置いておく
6.パジャマのズボンを交換する
①はいているズボンを脱がせる
●患者の両膝を立てる
●看護師はズボンのウエスト部分の両側を持ち,患者に殿部を上げてもらい,大腿部まで下げる
○患者が殿部を上げられない場合は看護師が殿部をしっかり支える
●さらに足首まで下げ,踵部を支えながら片足ずつ脱がせる
●ぬいだズボンは軽くたたんでベッッドの足元に置いておく
②清潔なズボンをはかせる
●看護師はズボンのウエスト部分から脚部をたぐり寄せ,足元の方から看護師の手を入れて患者の手前側の足首を支えながら膝まで通す
●反対側の下肢も同様に行う
●患者の膝を立て,ズボンを大腿部まで引き上げる
●患者に殿部を上げてもらい,ウエスト部分まで引き上げる
●ゴムの部分を調整し,腰部,殿部のしわを伸ばす
③背部のしわを伸ばす
●上着の両脇縫いを持ち軽く引いて背部のしわを伸ばす
○背部にしわがあると皮膚を刺激し褥瘡の誘因になる
④着心地を確認する
●首まわりの具合,身頃のよじれがないかなど確認する
⑤脱いだパジャマを片づける
●汚れたパジャマを洗濯袋に入れる
7.掛け物をかける
●綿毛布を掛け物の下からはずし,寝具全体を整える
○下シーツなどが緩んでいないかなど掛け物だけではなく全体をみる
8.患者の状態を確認する
●着脱時の体動による影響はないか,一般状態,バイタルサインなどを把握する
9.環境を整える
●床頭台,オーバーテーブル...