呼吸測定

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    資料紹介

    資料の原本内容

    目的
    呼吸器の状態を知る手がかりとする.
    必要物品
    ①秒針付き時計あるいはストップウォッチ,②聴診器,③バスタオル,④メモと鉛筆
    ポイント
    呼吸数,深さ,リズムや異常呼吸の有無,胸郭の状態や表情,体位,チアノーゼの有無を観察する
    呼吸数の観察では,呼吸測定をしていることを気づかれないように工夫し,胸郭や腹壁の動きをみて,1分間測定する
    呼吸音を聴取する場合は,前胸部,背部とともに左右対称に聴診する
    他のバイタルサインと関連させて判断する
    禁忌・注意点
    ①呼吸数の測定は患者の安静時に行い,患者に測定していることを意識させない.
    ②意識的に呼吸を変化させていないことを確認する.
    ③聴診のために静かで室内が明るく温かくなるように環境を整える.
    ④呼吸音の聴診では,高調な音を聞き取りやすいベル型の聴診器を用いる.
    ⑤聴診器の採音部は,強く押さえつけすぎないようにし,密着固定する.
    ⑥患者の体位,呼吸の仕方などにより呼吸音は,変化する.
    Ⅰ.呼吸を測定する
    1.呼吸数を1分間数える
    ●患者が意識しないようにバイタルサイン測定時は,脈拍測定に続いて行うとよい
    ○呼吸筋は随意筋であり意識的に変化させることができる
    ●1分間胸郭や腹壁の動きを数える
    ●病状が悪く呼吸が微弱な場合は次の方法がある.
    ①細く切った薄紙を鼻孔に近づけて,その動きをみる
    ②鏡を鼻孔に近づけて,そのくもり具合をみる
    2.呼吸のリズム,深さ,異常呼吸の有無,体位などを観察する
    3.呼吸音を聴取する
    ①聴診の目的や方法を説明する
    ○安心感を与える
    ②ドアや窓を閉め,室温の調整をする
    ●暖かい室内とし,聴診器や看護者の手は清潔で温かくする
    ○音を聴取しやすいよう静かな環境を作る
    ○不快感を与えない
    ③患者の体位を座位あるいは仰臥位に整える
    ●端座位または椅子に座る.座位がとれない場合は,仰臥位で前胸部,一側ずつ側臥位で側面と背部を聴診する
    ●上半身を露出し,下半身は掛け物やバスタオルでおおう
    ○患者の羞恥心やプライバシーを守る
    ④前胸部の呼吸音を聴診する
    ●患者にゆっくりと深く呼吸をしてもらう
    ●肺尖部から肺底部へ,一つの場所で呼気と吸気を聞き,左右対称に聴診する
    ○左右対称での音の比較をする
    ●呼吸音の強さと減弱,消失,吸気時と呼気時の音の性状,異常呼吸音の有無と性状を観察する
    ●聴診しながら胸郭の動きを観察する
    ⑤背部の呼吸音を聴診する
    ●患者に首を垂れてかがむ(肩を前方に寄せて肩甲骨を外転させる)ように説明する
    ●前胸部と同様に肺尖部から肺底部に左右対称に聴診する
    4.聴診器の消毒と看護者の手洗いをする
    ●聴診器のイヤピースと採音部をアルコール綿で消毒する
    ●看護者は手洗いをする
    ○感染の予防
    5.記録する
    ●呼吸数,深さ,リズム,異常呼吸の有無,呼吸音,胸郭の動きなど観察したことを記録する
    ※その他の知っておくべき事項
    ①正常な呼吸は,吸息期.呼息期・休息期の繰り返しで安静時の1分間の呼吸数は表に示す通りである.
    ②胸郭の運動による呼吸を胸式呼吸といい,横隔膜の運動による呼吸を腹式呼吸という.胸郭・横隔膜が同時に動く呼吸を胸腹式呼吸という.胸式呼吸は女性,腹式呼吸は男性にみられ,新生児は純腹式,妊婦や腹水の多い患者では純胸式呼吸の傾向にある.一般的には胸腹式呼吸が多いといわれる.
    ③呼吸の異常は,表に示すようなものがある.
    ④呼吸音の種類には,表に示すものがある.
    ⑤呼吸数,呼吸隊の観察とともに咳嗽(湿性,乾性)の有無,喀痰(色,量,性状),呼吸困難や息切れの有無,胸痛の有無,補助呼吸筋の使用の有無,チアノーゼの有無,体位について観察する.
    ⑥呼吸の観察に先立ち,喘息,気管支炎,肺気腫,結核などの既往がないかまた喫煙歴(喫煙期間や1日の量),薬物療法を受けているか否かを確認しておく.
    ⑦胸郭の視診は,患者に衣服を脱ぎ座位となってもらい,前方,後方(背部),側方から視診する.視診時は肋間は隆起や陥没がなく平坦で緊張していないか,胸郭の左右対称性,左右の肋骨の彎曲(90。以下伸下向きは正常),前後径と横径の比(1:2が正常),胸骨の形と位置が正中か(肋骨より突出または陥没がないか),気管の位置は正中で.一方に偏位していないかを観察する.
    (1)乳幼児の胸郭は,前後径と左右径の差がなくその比は1:1であり,形はほぼ円筒形をしている.横径は前後径に比例して広がる.
    (2)老人の特徴としては,脊柱後彎の亢進,呼吸音の減弱,肺機能低下による分泌物貯留の増加,胸郭前後径の増加がみられる.
    ⑧呼吸状況により肺機能検査として動脈ガス分析(正常値:pH7.35~7.45,PaCO235~45mmHg,PaO280~100mmHg)やスパイロメトリー(肺活量,1回換気量,努力肺活量,1秒量,1秒率など)が行われる.肺活量の判定は%肺活量が80%以上は正常と認められる.
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