急性的経過をたどる健康問題・障害と看護
A 健康問題・障害の経過の特徴
ここでは、急性的な経過をたどる健康問題や障害をもつ小児の看護を中心に解説する。この時期には迅速で適切な治療・看護によりまったく後遺症も残さずに回復する小児が多い一方で、すばやく治療しなければ急速に悪化し、時には重篤な後遺症を残したり、最悪の場合には死に至る危険性をもつ小児が含まれている。
一般には、急性疾患といわれる肺炎や腸炎などの感染症、気管支喘息やネフローゼ症候群、白血病などの慢性疾患の発症期、急性増悪期にある小児が含まれる。
1.急性期の小児と家族の特徴
急性期にある小児には、どのような特徴があるのだろうか。
この時期の小児は高熱や発疹、痙攣、腹痛、嘔吐、下痢、脱水症状、呼吸困難、チアノーゼなど急速で激しい症状を現して受診する。この時点では診断が確定せず、小児科、小児外科、脳外科など、どの診療科に受診するのが最適であるかが明確でない場合が多い。
医師の診断と初期治療の後、いわゆる急性疾患の小児は、治療によって数時間や数日間で回復し元気に帰宅する例も多いが、ネフローゼ症候群や小児がんのように、慢性疾患の初期症状...