脳器質性精神病
痴呆(症)の呼称変更にあたって、2005(平成17)年4月厚生労働省から行政用語としては「認知症」を用いるよう公示され官報に記載された。行政用語としての「認知症」が、日本精神神経学会の承認に先行し、流布したのが実態である。ここでは認知症と痴呆(症)を併記する。ただし、症状や状態像を示す場合の痴呆(症)、歴史的用語の「痴呆」は、そのまま残すこととする。
1.アルツハイマー病
1907年、ドイツの精神科医であるアルツハイマー(Alzheirner,A.)が、進行性の認知症症状(痴呆症状)を呈した初老期女性の症例を発表したことから病名がつけられた。
かつては、初老期に発病するピック病とともに、初老期認知症(初老期痴呆)の一型としてアルツハイマー病とよび、老年期に発病するものを老年認知症(老年痴呆)として分類してきた。しかし両者とも、単に発病の年代が異なるだけで、同一の疾患と考えられ最近では両者を含めてアルツハイマー病とよぶようになった。
ただし、65歳以前の初老期年代に発病するもの(40歳代の発病もある)を早発性アルツハイマー病、老年期に発病するもの(実際には70歳代後半から...