発達障害
1)精神遅滞
精神遅滞とは、知能の発達が遅れ、最終的に到達する知的能力も低い水準にとどまる障害を意味している。ここでいう知的能力とは、言語機能、思考の能力、および対人関係の能力をはじめとする社会的能力(社会性)などが統合されたものである。
精神遅滞では、これらの能力の発達が遅れることになるが、さらに情緒の発達や、身体および運動機能の発達の遅れを含んでいることが多い。現在、精神遅滞は医学用語として用いられているが、福祉領域ではもっぱら「知的障害」の語が用いられている。
(1)原因
従来、精神遅滞の成因論は内因と外因に分けて述べられてきたが、現在では、生理的成因、病理的成因、心理社会的成因の3つの領域に分類するのが一般的である。
①生理的成因:遺伝的素因が認められることもあるが、そのほかの病理的な成因が見出されないもので、精神遅滞の大半がここに含まれる。
②病理的成因:遺伝子病(結節硬化、フェニルケトン尿症ガラクトース血症テイーサックス病など)、染色体異常(ダウン症候群など)、先天脳奇形(小頭症、水頭症など)、内分泌障害(先天性甲状腺機能低ド症など)、胎生期から出生後までの感染症...