糖尿病
Ⅰ 糖尿病の成因別分類と病期・臨床像
1.糖尿病の定義と分類
1.定義
糖尿病はインスリンの作用不足によって、慢性の高血糖をきたす疾患である。
糖尿病はインスリンが十分に分泌できないか、分泌パターンの異常がある場合とインスリンの作用不足(インスリン抵抗性)がある場合とがあり、通常両者は併存し、両者が複雑にからみあって糖尿病を発症すると考えられている。インスリン分泌不足や分泌障害は膵β細胞の数の減少や、インスリンをよいタイミングで十分分泌できないことによって起こっている。また、インスリンの作用不足(インスリン抵抗性)は、インスリンの作用を発現する細胞(肝細胞、脂肪細胞、筋肉細胞)で、インスリンの作用をうまく伝えられないことによって起こる。
このような病態は遺伝因子と環境因子が複雑にからみあって起こっていると考えられ1型糖尿病、2型糖尿病ともに、この2つの因子が発症に関係することが明らかになっている。
2.分類
1999(平成11)年に日本糖尿病学会の診断基準が改訂され糖尿病は病態によってではなく、主に成因によって分類されることとなった。これによると、糖尿病は1型糖尿病、2型糖尿病...