栄養・代謝疾患患者の看護
Ⅰ 患者の特徴と看護の役割
栄養とは、生物が生命・健康の維持、成長、臓器・組織の機能の正常な営み、エネルギー産生のために、食物を摂取し、これを利用する過程をいう。また代謝には、摂取した物質をもとにした合成(同化)と分解(異化)からなる物質代謝と、その物質の変化に伴って起こるエネルギーの産生と消費からなるエネルギー代謝とがある。こうした複雑な代謝によって、生物は環境の変化に対して一定の内部環境を保つことができる。
栄養・代謝疾患とは、栄養・代謝過程の異常により、内部環境が維持できなくなることによる疾患である。主な代謝疾患として、糖代謝異常による糖尿病、エネルギー代謝異常による肥満症脂質代謝異常による高脂血症尿酸代謝異常による痛風などがある。
栄養・代謝疾患は典型的な慢性疾患である。ストラウス(Strauss、A.L)は、「慢性病は、長期的で、不確かで、不経済で、多くの場合重複していて、きわめて侵害的であり、治癒不可能なので姑息的である」と述べている。こうした慢性疾患の特徴は、そのまま栄養・代謝疾患にもあてはまる。
1.生じやすい身体的問題
1.乏しい自覚症状
栄...