浮腫
1 症状が生じる病態生理
1.浮腫とは
浮腫とは細胞外液(組織間液と血漿),特に組織間液が異常に増加した状態をいう。浮腫液の主な成分はNaClである。
2.浮腫のメ力ニズム
浮腫は全身性浮腫と局所性浮腫に分けられる。浮腫の成因は,局所性因子と全身性因子とに分けられるが,全身性浮腫の発生にはこの両者が,また局所性浮腫の発生には局所性因子が関係する。
1)浮腫の局所性因子
末梢の毛細血管の動脈側から組織へ出た水は,組織から再び静脈側の毛細血管(多くはリンパ管を経由して静脈へ流入する)へ戻る。正常な状態では,両者の間の水の収支はゼロを保つが,表1に示す①~④などの何らかの原因によってこのバランスが崩れると,組織間液が増加し,浮腫となる。
①静脈圧の上昇
うっ血性心不全,腫瘍などによる静脈の圧迫,血栓性静脈炎による静脈閉塞,動脈血流量増加などによって,静脈圧が上昇すると,毛細血管内の水を組織へ押し出す力が亢進し,組織間液が毛細血管内に戻らず,組織間液が増加し,浮腫となる。
②血漿蛋白質濃度の減少
ネフローゼ症候群,肝硬変などによって,血漿蛋白質,特に血清アルブミン濃度が低下すると,組織の...