資料:7件
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環境権について論ぜよ
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「環境権について論ぜよ」
環境権の提唱・承認
1960年代後半に、環境に関する市民の権利として、アメリカのミシガン大学のサックス教授によって環境権が提唱されたのである。
サックス教授は、環境権を市民が快適な環境を享受できる権利として位置づけるだけではなく、環境破壊のおそれがある場合には、原因者に対して予防訴訟を提起できる法的根拠としての位置づけを与えるべきだとして環境権を提唱したと評価されている。その後、健康で安全に生きることが、われわれ人間にとって基本的な権利であることが、ストックホルムでの国連環境会議での宣言として採択され、全世界的にも承認されているのである。
2.日本における環境権の提唱・承認
日本においては、1970年9月に、日本弁護士連合会第13回人権擁護大会で、大阪弁護士会が環境権を提唱した。ここで提唱された環境権は、「何人も憲法25条に基づいて良い環境を享受し、環境を汚すものを排除できる基本的な権利がある」というものであった。当時、公害や環境破壊に苦しんでいる国民に向かってその被害を食い止め、より良い環境を享受する可能性を与える権利として提唱されたのである。その
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環境権について論ぜよ
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「環境権について論ぜよ」
わが国は、第二次世界大戦終戦を契機に、1960年代には高度成長期を迎え、急激な経済発展を遂げてきた。工業化や都市化が進み、それにより私たちの衣食住に関する生活水準も向上し、豊かな生活を送る事が出来るようになってきたが、その反面で大気汚染、悪臭、水質汚濁、騒音、振動、地盤沈下などの所謂「公害」が増大して来た。これを契機に良好な環境を享受する権利が必要となって来た。これが「環境権」である。
環境権とは、環境は全ての人々のものであり、誰も勝手にこれを破壊してはならないと言う法理に基づくもので、その侵害があればこれを排除できる私権である。内容の範囲としては、遺跡、文化財、公園、学校などの文化的・社会的環境の保護まで含める見解もあるが、環境権の本来の意図である自然環境の保護を意味すると解するのが妥当であり、具体的には、日照権、静穏権、眺望権を指す。
ところで、環境権は憲法上明確に定められている訳ではなく、憲法13条(幸福追求権)及び同25条(社会権)を間接的に根拠としている。環境権は、環境破壊を予防し排除する為に主張された権利であり、そういう良い環境の享受を妨げられないという側面では、自由権であるから、憲法13条の幸福追求権にあたり、また環境権を具体化し、実現するためには、公権力による積極的な環境保全ないし改善のため施策が必要であるから、その面では社会権としての性格も有しており、憲法25条にも該当してくる。
何故環境権と言う概念が憲法上明記されなかったかというと、現代憲法制定時には日本の超高度成長期の到来を予見し難かった事が背景にある。高度成長期が到来し、実際に公害が発生した事により救済措置が必要となった事が環境権と言う新たな権利を生んだのである。1969年頃からアメリカで「環境権」という言葉が論文で登場し始めてきたが、日本では1967年に公害対策基本法が施行され、環境保全に対策が講じられるようになってきたが、まだ私権上の環境権としての形成には暫く先となり欧米諸国に遅れをとる事となる。
環境権に、根拠に争った代表的な事件として、空港周辺住民が国に対して、航空機の離発着による騒音などによって破壊された生活環境の改善及び損害賠償請求を提訴した「大阪空港公害訴訟(最大判昭56.12.6)」、発電所近隣住民が九州電力に対して、火力発電所の操業により将来に渡り公害の発生が予想されるとして、発電所の操業停止及び海面埋立地の原状回復を提訴した「豊前火力発電所操業停止訴訟(最大判昭60.12.2)」などがある。
判例について、大阪空港公害訴訟では、民法710条の人格権を基にし、損害賠償請求を認めているが、環境権についての考察を避けている。また豊前火力発電所操業差止訴訟についても、環境権は実定法上の具体的権利として是認し得ないものとし、環境権に基づく請求を棄却しており、原稿法規判例において、環境権を認めていない。
では、なぜわが国では、環境権に対しての意識が弱いのか。1999年、読売新聞による「憲法に関する意識調査」全国世論調査においては、前年まで関心のトップであった、第9条(平和主義・戦争放棄)を抑え、環境問題が関心のトップ(37%)となった。つまり、国民個人々々においては環境問題に対して意識が確実に高まりつつあるのに、その整備確立が遅れているのには、そのような要因があるのだろうか。
第一の要因として、日本国内における司法権・立法権・行政権の適切な対応の遅れが考えられる。立法権・行政権で確実に環境権の概念に基づく政策が行われ、その
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環境権
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