漢字には一字一字が意味を備え、一つの言語単位を表している。これは「表意文字」と言われるが、一字一字が言語単位を表しているので「表語文字」とも言う。また、漢字の意味は、基本的に「字形」それ自体に含まれる。そして、文字であり「音」を備え持っている。これら「字形」「字音」と「字義」を、漢字の三要素と言う。
まず「字形」について述べていくが、「字体」との違いを考えていく。「字体」とは、書写体としての形態を意味し、漢字がもつ意義に関与しない。それに対して「字形」は、漢字の構造的形態を意味し、漢字がもつ意義を決定づける。
この「字形」について、漢字の構造を最初に研究した書物『説文解字』によると、偏や旁などの要素によって、九三五三字を五四〇部に類別し、親字に篆文を用い、字義と字形の成り立ちを説明している。そして、四種の構成と、二種の用法に関して、六つの原理が働いている「六書」を指摘している。
この四種の構成とは「象形」「指事」「会意」「形声」である。「象形」は、物の形を象って図形化したものであり、「人」「水」などがそうである。この「象形字」を土台として、これに事を指し示す符号を加えたものを「指事」と...