「オンブズマン制度の基本的性格を論ぜよ。」
オンブズマン制度とは、「市民を不当な行政権力から守るための制度」である。米国の政治学者ローワットはオンブズマン制度を以下のように定義している。それは
1.オンブズマンは、立法府の独立した非党派
的な機関であり、憲法ないし法律によって
規定され、行政を監察する。
2.オンブズマンは、行政の不法行為あるいは
失政に対する一般からの特定の苦情を取扱
う。
3.オンブズマンは、調査・批判・公表・権限
を持つが、行政行為を取り消す権限は持た
ない。
というものである。以上三つの特徴を全て内包したものが「オンブズマン」の名に値し、そのように限定された意味合いで使用されねばならないとローワットは説く。このように「オンブズマン」制度を明確に定義づけることは、これが諸外国に普及した際に大きく役立ち、行政などの公権力を対象とする制度であることから、限定的に定義されてしかるべきであろう。
世界初のオンブズマン制度は、1809年のスウェーデンにおいて設置された。「オンブズマン」の語源である「オンブード」とは、スウェーデン語で「代理人」を意味する。オンブズマン制度は、行政機関のひとつとして、北欧諸国において発...