「官僚制の病理と逆機能について論ぜよ。」
官僚制という言葉には二つの意味がある。一方はそれを具現化した公務員制度であり、他方はそれを受ける人々が非難の意味を込めて使う用語である。ウェーバーが発達を促した近代官僚制が、望ましい方向に機能しないということを逆方向に作用すると捉えて、これを逆機能と呼んでいる。
また官僚制には、一つの政治勢力を形成して権力化する側面や非能率的な業務体系を構成するなど、官僚制には全体的な病理が存在していることを意識しなくてはならない。すなわち、非難の言葉として使われる「官僚主義」には、先例踏襲、繁文縟礼、瑣末主義、事大主義、責任回避、尊大横柄などの事態が内包されている。
近代官僚制の特質の一つとして、規則万能主義がある。これは規則に基づく職務執行の結果、行政の目的が達成されるという近代的官僚組織のルールに基づいた結果の産物である。元来、規則や法規は有効適切に職務を遂行するため、解釈して適用しなければならないものである。しかし、これが忘れられ、いつの間にか規則の遵守が形式的に普遍化してしまう。
しかも職務遂行は文書をもってなされるため、ますます形式化し、こういった現象すなわち繁文条例が発生してしまう。...