文化人類学は、人間の生活様式全体の具体的なあり方を研究する人類学の一分野である。文化人類学で重要なのはフィールドワークであり、数か月から数年にわたって研究対象となる社会に滞在し、その集団の構成員の一員として生活する参与観察は、実地調査の一手法である。フィールドワークには、観察、インタビュー、心理テストなどの手法がある。
1920年代、ポーランド出身の英国人類学者マリノフスキーがニューギニア島島南端の北方、ソロモン海上にあるトロブリアンド諸島で2年あまりにわたってフィールドワークを実施した。この時にマリノフスキーが行った方法が「参与観察」である。マリノフスキーがここでの調査結果をもとにして「機能主義」という学説を唱えた。
のちに、英国の人類学者ラドクリフ=ブラウンも機能主義を唱えているがマリノフスキーが唱えているそれとは意味する内容が違う。
機能主義とは、慣習、制度、価値などの社会的諸現象を社会の中で果たす機能によって説明する理論である。両者とも長期間の野外調査ののち、個々の慣習や制度を理解するためには、それらが全体の文化の中でどのように「機能」としているのかを究明しなくては...