ジョン・デューイは、その著書「学校と社会」において、理想とする学校像を提示した。それは、彼の頭の中にある空想の世界より導き出したものではなく、シカゴ大学付属小学校という実験学校と呼ばれる場において数多くの実践がなされた上で、発表されたものである。彼の描く理想的な学校の具体像に迫る前に、彼が唱えた「新教育」というものがどのようなものなのかについて触れておこう。この新教育はこれまでの教育を塗り替えるただの新しい教育ではない。新教育は変化した社会情勢の所産であり、また今日形成されつつある新しい社会の必要に応えようとする努力の表われにほかならない。さらに現代心理学によってわかってきた精神活動や成長の過程の原理に照らして、子どもの教育を検討した上に生まれ出てきたものなのである。社会状況の変化、学問的発達という観点から、旧来の教育を批判的に分析し、新しい教育手法を生み出していく運動、これこそが彼の唱える新教育なのであった。
それでは彼の理想的な学校像を具体的に見てみよう。彼は、自然にじかにふれることや、現実の事物や材料の取り扱い方や、それらのものを実地に操作することから得られるしっかり身についた...