生命情報薬学

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    生命情報薬学レポート
    2010/06/10 提出
    分子生物学における「セントラルドグマ」について簡単に説明せよ。
     生物を形作るもとになる遺伝情報の本体はDNAであり、細胞分裂時に複製されて全ての体細胞に保持されている。また、二本鎖であるDNAの一方が鋳型となりRNAに転写されたのち、これをもとにタンパク質が合成される。このことが分子生物学におけるセントラルドグマである。この過程は一方向に進行すると考えられてきたが、ウイルスの持つ逆転写酵素の発見によりRNAからDNAが合成される経路の存在も確認されている。

    コドン、リボソーム、mRNA、tRNA、rRNA、というキーワードを説明し、mRNA情報に基づきタンパク質が合成される仕組みについて簡単に説明せよ。
     コドンとは合成すべきタンパク質を指定する遺伝暗号のことで、連続した三つのRNA塩基配列が一つのアミノ酸を指定している。mRNAとはタンパク質への翻訳の型となるRNAのことで、DNAの遺伝情報がmRNAに転写されmRNAのコドンによってタンパク質が合成されるというように、遺伝情報を細胞の核内からタンパク質合成の場である細胞質へ運ぶ際の仲介役として機能する。tRNAはmRNAからのタンパク質合成の際にmRNAと指定されたアミノ酸を結合させるアダプター分子として機能する小さなRNA分子のことである。リボソームはmRNA上を移動しながら相補的なアミノ酸と結合したtRNAを捉え、隣接するアミノ酸と結合させる、「タンパク質製造装置」のようなものである。複数のタンパク質とともにリボソームのサブユニットを構成するRNA分子はrRNAと呼ばれる。
     タンパク質合成は、リボソームがmRNAのコドンに従ってアミノアシルtRNA(コドンに対応するアミノ酸と結合したtRNA)を適切な位置に運び、結合させることによって進行する。具体的にはmRNAの5’末端のキャップ構造を認識してリボソームが結合し、mRNA上を5’→3’方向に移動して開始コドンを探し当てる。開始コドンを始まりとしてmRNA上のコドンに対応するアミノアシルtRNAを次々と引き寄せ、tRNAに結合しているアミノ酸同士をペプチジル基転移酵素活性によりつなぎ合わせることでタンパク質を合成する。
    代表的な抗生物質を挙げて、その機能について説明せよ。
     抗生物質の代表例として、β-ラクタム系抗生物質であるアンピシリンが挙げられる。β-ラクタム系抗生物質は大腸菌などの細菌の細胞壁成分であるペプチドグリカンの合成阻害をすることで抗菌作用を示す。β-ラクタム環をもつβ-ラクタム系抗生物質の構造はペプチドグリカンのC末端にあるアラニンが連続して結合している構造に類似している。このためアンピシリンは、細胞壁合成酵素の本来の基質であるペプチドグリカンに対して競合的阻害をするため、細胞壁合成が抑制されて細菌の細胞壁は脆弱になる。これによって細菌は、自身の細胞への物質透過性や浸透圧の調整ができなくなり死滅する。
    <参考>

    田中千賀子ら編、NEW薬理学改定第五版、南江堂、2007、642p

    平松啓一ら編、標準微生物学第10版、医学書院、2009、662p

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