基礎実習レポート
1-4 高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)
実験実施 2010/05/06
提出2010/5/12
Ⅰ.目的と概要
テキストに準ずる。
Ⅱ.原理
テキストに準ずる。
Ⅲ.実験手順
試料溶液の調製
市販の医薬品であるガスター(ファモチジン)を①1.0214g、②1.0023g量りとった。これを50mLのメスフラスコにそれぞれ入れ、ホールピペットで超純水20mLを正確に量りこれに加えた。秤量カップに残ったガスターをすべてメタノールで洗いこんだ後、メタノールを加えて正確に50mLとした。ファモチジンを完全に溶かした後、遠心分離を行った。この上澄液5mLをホールピペットで20mLメスフラスコに量りとり、内標準溶液2mLを加えた。移動相を加えて正確に20mLとした。
システム適合性
あらかじめ測定しておいたHPLCで得られた標準溶液のデータを【表1】に示した。ただし、測定に用いた標準品(100%ファモチジン)の量は0.05013gであった。これをもとにテキストに従って再現性の確認を行った。また、内標準物質のピーク面積(S2)に対するファモチジンのピーク面積(S1)の比Qsを求めた。
ファモチジン含量の定量
調製した試料溶液をHPLCの機械にセットし、内標準物質のピーク面積(S2)に対するファモチジンのピーク面積(S1)の比QTを求め、2)の結果及び求めたQSを利用してファモチジン含量を求めた。結果を【表2】に示した。
Ⅳ.結果
【表1】標準試液の高速液体クロマトグラフィーによる結果と計算結果
上の表より、分離度Rs=31.2>11.0であった。
また、内標準物質のピーク面積(S2)に対するファモチジンのピーク面積(S1)の比は、
Qs=1.1837 であり、その相対標準偏差(RSD)は0.0384%<1.0% であった。
ただし、RsおよびQsは下に示す式で求めた。また結果とした値は標準試液①および②のそれぞれの結果から求めたRs、Qsの平均とした。
システムの性能と再現性は測定に十分であることを確認した。
【表2】試料溶液の高速液体クロマトグラフィーによる結果
上の表より、分離度Rs=16.5>11.0であった。
また、内標準物質のピーク面積(S2)に対するファモチジンのピーク面積(S1)の比は、
QT=1.2584 であり、その相対標準偏差(RSD)は0.0229%<1.0%であった。
前述のように、RsおよびQtは上に示した式で求めた。また結果とした値は試料試液①および②のそれぞれの結果から求めたRs、Qtの平均とした。
以上から試料(ガスター散)のファモチジン含量を求めると、
ガスター散の秤量値 1.0214g ファモチジン含量 2.061%
ガスター散の秤量値 1.0023g ファモチジン含量 2.154% 平均値 2.107%
ただし、ファモチジンの量(mg)=ファモチジン標準品の量(mg)×× で求めた。
Ⅴ.考察・問題の解答
用いたガスター散は2%と表記されていたので、誤差がある。原因としてはHPLCの測定誤差および天秤の測定誤差が考えられる。仮に操作途中でファモチジンをこぼしたとしたなら、2%よりも小さい値になるはずであるから、HPLCや天秤の測定誤差であると判断するのが妥当である。
本定量法において、試料溶液および標準溶液に内標準物質を添加する意義は、試料注入量のわずかな誤差による測定誤差の発生を防ぐことである。今回のように5μLとごく少量の測定においては、わずかな注入量の誤差でも結果に反映されてしまう。注入量は注入するまでの前処理や、その過程での溶媒の蒸発によって容易に変化する可能性がある。内標準物質を添加しそのピーク面積と目的物質のピーク面積の比をとることによって、試料注入量を厳密に一定にしなくても正確な測定値を得ることができる。
また内標準物質としては、次の条件を満足しているものが望ましい。
検成分のピークと完全に分離し、かつ保持時間が近い。
化学的に安定なもので、被検成分または溶媒と反応しない。
入手が容易で、比較的簡単に精製できるものや、純品が得られるもの。
今回内標準物質として用いたパラオキシ安息香酸メチルは、この条件を満たしているものと考えられる。
Ⅵ.参考
山口政俊ほか、“パートナー分析化学Ⅱ”、南江堂:p.193
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