術後合併症(循環器編)
内容:高血圧/低血圧の原因、
血液分布異常性ショック、循環血液量減少ショック、心原性ショック、心外閉塞性ショック
徐脈・頻脈・不整脈、心筋虚血
心臓手術における周術期心筋梗塞
心不全・肺水腫、肺血栓塞栓症の要因・病態・予防・診断・治療・処置
ショックの定義・症状・分類・病態・治療
循環器系術後合併症について
a.高血圧/低血圧
術後の循環器合併症の中で,高血圧/低血圧,除脈/頻脈/不整脈,心筋虚血,心不全・肺水腫,肺血栓塞栓症,ショックなどは致死的合併症でありその対応が重要である。この項では,心臓大血管術後に遭遇する上記の循環器系術後合併症の予防,診断,治療について論ずる。
1.高血圧症
術後高血圧の原因としては,疼痛,不穏,高二酸化炭素血症.低酸素血症,低体温,過剰輸液,気管内チューブの刺激などがある。内因性カテコラミン放出に伴い,頻脈と末梢血管抵抗の増大が特徴である。特に高血圧症の既往のある患者で発生することが多い。まれではあるが,甲状腺機能亢進症,褐色細胞腫,悪性高熱症の病態を反映していることもある。
1)疼痛・不穏
疼痛は術後高血圧のもっとも多い原因である。対応としては,まず疼痛の原因除去,次に鎮痛薬や硬膜外/局所麻酔などを使用した積極的な疼痛コントロールである。術後の不穏もまた疼痛同様に高血圧をもたらす。特に小児で著明であり,鎮静剤の投与も考慮するが,不穏の原因(苦痛,呼吸の不足)除去がもっとも重要である。特に,低酸素血症やショックに伴う不穏に関して...