『「灰の水曜日」について、あるテーマを選んで論述せよ。内容にふさわしいタイトルを付すこと。』
今回のレポートのタイトルは『エリオットの転換』です。『灰の水曜日』という作品は、エリオットがイギリスに帰化し、英国国教会に改宗してからの作品でした。エリオットはアメリカのセントルイスで生まれ、アメリカで育ったが、アメリカに不満はないながらもイギリスに帰化したということで、作品の背景にある彼の主題や技法・思考の内容が以前の作品と大きく異なっていると言えます。そうしたエリオットの作品や思想の転換について、以前の作品と比較していきたいと思います。
まず、初期のエリオットの作品は、『プルーフロックとその他の観察』から『荒地』までの3篇があるが、これらはいずれも第一次世界大戦後に作られたものでした。初期の作品は、いずれも独創性のあるもので、特に『荒地』について解説すると、病んだ都会には倦怠や不毛・無気力が蔓延しており、それが機知と風刺の洗礼を受けて退廃や絶望・絶対的な孤独となっていきます。戦争後の世界の中で、近代文明がことごとく破壊され、繁栄していくものもある中で、その中に潜んでいる堕落や栄枯盛衰の...