変形性膝関節症
・1次性(特発性)…加齢による退行性変性によるもの。50歳以上の女性、肥満の人。体重による負荷が原因
・2次性(続発性)…外傷・化膿性膝関節炎・離断性骨軟骨炎などにより続発
症状
・疼痛…運動開始時膝関節内側に強く認める。安静時に痛む場合は、骨壊死症や感染症・腫瘍を考える
・可動域制限…膝関節伸展制限
・関節腫脹、関節水腫…関節内に関節液が貯留。滑液の非特異性慢性炎症
・関節変形…内反膝 内側関節の磨耗したO脚
・大腿四頭筋の萎縮…全面の大腿四頭筋を中心とした筋肉群が著名に萎縮。大腿四頭筋は膝関節を強力に支持し、萎縮すると膝関節に負担が加わり、状態の悪化する。
診断
単純X線撮影で変形性変化として、骨棘形成、軟骨下骨の骨硬化、萎縮、関節裂隙の狭小などの所見あり。
関節裂隙の狭小化は、X線写真では立位時の方が明らかとなり、軟骨が磨耗している。
①骨棘形成
②関節裂隙の狭小化
③軟骨下骨の骨硬化
④膝関節のアライメントの変化
骨欠損・骨萎縮・骨嚢包形成・関節亜脱臼の所見
アライメント評価
立位のX線正面像における膝外側角(FTA)を指標とする。
・FTA…大腿骨および脛骨骨幹部のそれぞれの中点をとり、中点を通る直線をそれぞれ大腿骨軸・脛骨軸として、交点の外側角を計測する角度。 男性は178° 女性は176°
・下肢機能線(Mikulicz線)…下肢全長立位正面像にて大腿骨頭中心より足関節中心まで直線を引いた荷重線
鑑別診断
・関節リウマチ(RA)
赤沈こうしん、RA因子陽性
・膝関節結核
関節水腫 淡黄色透明で粘ちょう度高い。軟骨や滑膜の磨耗片を認める。細胞の増加はなし。 滑膜生検で鑑別する。
治療
・保存療法
・リハビリテーション
…膝関節の負担軽減させるため、体重減少、杖の使用の
指導。 温熱療法・大腿四頭筋の強化訓練・可動域訓練
・装具療法
サポーター…装具により得られる安定感と関節保護が目的
機能的膝装具…プラスチックや金属の枠組みで作られた装具で膝関節の安定性が高く、疼痛の軽減できる。
足底板…外側を高くした外側ウェッジ足底板は、内側膝の改善
・薬物療法
・手術療法
…保存的治療で効果が得られない場合に検討する。
高位脛骨骨切り術は変性のない部分に体重がかかるように軸矯正を行う。
変性変化が重度である場合は人工膝関節全置換術(TKA)を行う。疼痛の軽減が期待できる。
人工膝関節置換術 術後プログラム
TKAの適応は、原則65歳以上で関節破壊が進行し、疼痛のため日常生活に支障をきたす場合。
〈参考文献〉
監修国分正一、鳥巣岳彦:標準整形外科学、第10版2刷、医学書院 2008年