生物と物質の相違
「生物と物質の相違」について議論するには、「生物の定義」と「生物の起源」について、議論を始めるのが妥当であろう。「物質=無生物」であるから、生物についてはっきりと定義をあぶりだせば、必要十分である。
まず、「生物の定義」についてだが、多くの説や議論があり、未だ明確なものはない、という風に感じた。広辞苑の定義では、以下のように記されている。
生物:生きもの。生活しているもの。一般に栄養代謝・運動・生長・増殖など、いわゆる生活現象をあらわすものとされるが、今日では増殖を最も基本的・普遍的属性とみなしている。
無生物:生活機能を持たないものの総称
増殖がキーワードになっているようである。つまり、遺伝子のもととなるDNAという物質をもつもの、という定義がまず考えられる。実際、高校の生物の教科書などを見ると、はっきりとは書いていないが、そのような記述を見かけることができる。
無論これは一つの説であって、私が他に参考にした池田教授の文献によると、細胞が生物の最小単位である、という説を取っている。彼は、「遺伝子が最小単位である」とする高校の生物の教科書に載っている記述に対し異議を...