「失われた20年」を考えるために1991年から2008年までの失業率・長期失業者率の推移をグラフによって図示したが、日本の失業率は高度経済成長以降からグラフにもあるように1990年代前半までは失業率2%台という他の先進国と比較しても明らかなように極めて低い水準を維持していた。欧米諸国が平均して10%台の失業率であったことを考えればこれはある意味では異常なことである。
ここでは経済学の祖とされるアダム・スミスの思想を考察し資本主義を検討する。
スミスの主著「国富論」は当時支配的な経済学であった重商主義を批判するものであった。
彼は、重商主義国家の介入や恣意的な経済政策が「事物の自然の秩序」に反するものであって、特定企業の独占が市場作用を阻害すると批判しているのだと説いた。では「事物の自然の秩序」とは果たして何を意味するのか。
確かに、スミスは個人の自由や利益追求を提唱したという意味では個人主義者であり現代の私たちが思い描くように自由主義者であった。しかし、彼の著書「国富論」のタイトルが端的に示すように、国家の利益を最重視している。
現代経済社会論
§0.日本の失われた20年とはどのようなものであるか
この20年が日本にとって「失われた20年」であるということを、下の五つのグラフによって説明していく。
(※なお、グラフを作成するにあたって使用した資料等は各グラフ下に明記する。)
①主要国・地域の名目GDP
資料:IMF World Economic Outlook Database October 2010より作成
URL:http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2010/02/weodata/index.aspx
②G7各国・中国・韓国の名目GDP
資料:IMF World Economic Outlook Database October 2010より作成
URL:http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2010/02/weodata/index.aspx
③日本・アメリカ・中国・EUにおけるGDP成長比
資料:IMF World Economic Outlook Database October 2010より作成
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