『本テキストで述べる社会科授業の基本構造について
説明し、平成20年版学習指導要領における社会科の
教科目標との関連を考察しなさい。また基本構造に
基づく社会科授業のあり方について、幾つかの理論に
触れつつ具体的な授業事例を挙げて説明しなさい。』
1.社会科授業の基本構造
(1)社会科教育の目標
社会科教育の本質的目標は、「社会認識を通して市民的資質を形成する」ことである。それはすなわち、子どもが社会の中で種々の問題に当面した際に、認識内容を判断材料として合理的な意思決定ができるよう育てていくということである。
(2)社会科授業の基本構造
①社会認識内容の保障
社会科授業の基本構造はまず、上述した社会科教育の本質的目標と直接的なつながりを持っていなければならない。市民的資質の育成のためには「社会認識内容を豊かに育成」(理論1)することが重要であり、それを判断材料として価値判断をさせることが市民的資質につながる。昨今の総合的学習ブームは、学び方、活動中心、問題解決能力、といった方法知に傾きすぎている。しかしながら社会科授業では、生産や流通、消費といった社会構造の基本や、政治の仕組みといっ...