施設養護の基本理念である基本原理においては、いくつかのまとめ方がある。社会環境の変化から現代の子どもを取り巻く環境も変化し、それに伴い基本原理の考え方やまとめ方にも多少変化があるが、ここでは、5つにわけてまとめ、それを用いて、施設で生活する子どもたちにとって必要な援助とは何かを述べたいと思う。
まず、その5つを最初に挙げると以下の原理にまとめられる。
人権の尊重と人間形成の原理(人間性回復と形成)
個別化の原理(処遇の個別化)
親子関係調整の原理(親子関係)
集団力動性活用の原理(集団生活の活用)
社会参加の原理(積極的な社会参加)
これらの施設養護の原理を基に子どもにとって必要な援助をのべていくのであるが、まず1についてまとめていきたい。
児童養護の基本的な原則は「児童は人として尊ばれる」と児童憲章に示されているように、施設養護においても、まずは基本的人権を尊重しながら、健全な成長発達を保障する養護を展開すべきである。
しかしながら、実際に入所してくる児童は、親の行方不明、死亡、障害、近年では特に虐待により心を痛めて、人間性を失って入所してくるケースが多く、反社...