『自我(自己)の発達』
フロイトによると人間の精神は、本能、自我、超自我の三層構造になっている。その中でも自我は、自分の置かれている状況を把握したり、自分の正しさや間違いを自覚したり、感情をコントロールしたりする意識であるといわれる。我々が社会的に適応できるのはこの自我の働きであり、その確立には青年期までかかる。人格の完成を目指す教育において、子どもの自我の発達を知り、それを踏まえた指導をすることは重要である。
発達心理学者エリクソンは、人格の発達を8つの段階に分け、それぞれの段階における「発達課題」を示した。本レポートでは、このエリクソンの発達理論を参考にしながら子どもの自我の発達を踏まえた指導のあり方について考察していく。一般的に、生まれてから学校を卒業するまでの「乳児期」、「幼児期」、「児童期」、「青年期」という成長段階のそれぞれについて、どのような時期なのか、養育者、指導者はどのような指導を心がけるべきなのかを説明する。
まず乳児期は「基本的信頼」を獲得する段階である。基本的信頼とは、いついかなるときでも自分の全てをあるがままに受け入れてくれる他人がいるという安心感、自分...