『認知主義とパソコンを使った授業』
(1)「認知主義の学習理論」について
学習理論には三つある。行動主義と認知主義、そして状況主義である。学習を決定づけるものが外的要因(環境)か、学習者の内的要因か、あるいは両者のインタラクションかという視点の違いによって区別される。以下、行動主義との対比を通じ、認知主義の学習理論を説明する。
行動主義とは、客観的な観察が可能である「行動」に注目する立場だ。私たちは人間が外部からの情報をどのように解釈し、そして判断しているのかという仕組みを直接観察することはできない。そこで行動主義はその研究対象を行動に限定した。直接観察できない心の仕組みを研究することは科学的ではないと考えたのだった。一方、認知主義は人間の心の内面がどのような構造になっているのか、客観的な観察こそできないが、それを理解することはできるのではないかという前提で研究を進める。行動の前提となっている認知に焦点を合わせ、そして学習過程を明らかにしようとする。
認知主義の学習理論は、特に記憶の領域を扱うことが多い。コンピュータの比喩を用いて人間の記憶の説明がなされる。コンピューターのディスプレイ...