2010年提出の最新版です。A評価です。
ジョン・ロックにおける子どもの教育論、特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ。
ジョン・ロックは心の中には生まれながらに刻み付けられた観念や原理などはないという考えであるタブラ・ラサ説を唱えていた。この考えに従えば、子どもは生まれた時はまだ何の観念も持っていないということになる。子どもは成長するにつれて、教育によってさまざまな観念を獲得するようになるのであり、これは経験主義的な考えと言い得る。そしてロックは子どもの教育はまず感覚的な訓練から始めるように主張している。感覚によって一つ一つの対象についてわれわれの心の中に観念が起こり、さまざまな知識が得られ、われわれの真っ白な心に入るのである。そしてその知識と観念を記憶し、一つ一つの名前を教わる。しかしもし幼児期の子どもが誤った複合観念を持つならば、その子は一生間違った観念を持つかもしれない。それゆえ正しい観念を持つように子どもを教育することが重要である。生得的な性質を重視しないロックの人間観からは、正しい教育さえすれば子どもを立派な人間にすることができるという楽観主義的教育観が導き出される。
また、ロックの教育論は一般に紳士教育論と言われ...